学部長より新入生へのメッセージ
GMS学部 新入生の皆さん
このたびはご入学おめでとうございます。大学の「新入生オリエンテーション特設Webサイト」に私の新入生向けメッセージ動画が出ていますが、文章でこちらにも載せておきます。内容はまったく同じというわけではありませんが、概ね同じです。
今年度は、新型コロナウィルス感染症の問題があり、大学としてやむを得ず入学式を行わないこととしました。楽しみにされていた方も多いと思います。申し訳ありません。
とはいえ、今、ヨーロッパ各国や米国などで起きている大規模な感染拡大を防ぐためには、必要な対応であったと考えています。日本でもこれは他人事ではなく、いつ爆発的な感染拡大が生じてもおかしくはない状況といわれています。オリンピックを含む大規模なイベントを中心に、中止や延期の例が相次いでいる中、入学式だけ例外というわけにはいきません。
当然、入学後もこの問題は残ります。既にお知らせしている通り、駒澤大学は、新年度前期授業の開始を2週間遅らせる決定をしました。今後の推移によっては、さらなる対応が必要となるかもしれません。実際、今、学内ではさまざまな検討が行われています。今回の感染症の広がりを「人類とウィルスとの戦争」と呼ぶ人もいます。今は非常時だということです。
しかし一方で、現在の状況は、皆さん方のように、グローバルな視点からメディアを学ぶ人にとっては、またとない貴重な学びの機会でもあります。中国で発見された感染症があっという間に世界中に広がっていったさまは、国境を越えて人が活発に動き回る現代社会のありようを反映したものですし、まだ謎の多いこの病気に関してさまざまな情報がさまざまなメディアを通して飛び交い、あるものは拡散され、あるものは否定されつつ、世論が形成され、それが動いていくさまは、現在のメディア状況あってこそのものです。
その中で、各国の政治や経済、企業の動き、社会のあり方などが複雑にからみ合い、影響を与え合っていることを、皆さんはこの学部で学びながら、理解していくことになるでしょう。より広く、より深く知れば知るほど、それまでみえなかったものごとがみえてくるようになります。
これから大学生活を始めるにあたって、皆さんにお願いしたいことを3つ述べます。
(1)興味のアンテナを広く張ってください。
「興味のアンテナ」とは、いってみればトゲトゲがたくさん出た、いわゆる「ひっつき虫」のようなものです。草むらに入ると、トゲがたくさん出た植物の種が服に付くことがあります。オオオナモミというキク科の植物の種ですが、トゲがたくさんついているので、いろいろなものにひっかかります。同じように、興味のアンテナをトゲトゲのように、たくさん出すようにしてください。皆さんのほとんどは、これまで比較的狭い世界で生きてきたと思います。これからはそれを広げる時期です。広く知ることで可能性を広げることができます。そのために、新たなものに触れる機会を、自覚的に作ってください。
(2)必要以上に群れないでください。
友だちや仲間といっしょにいることは楽しいでしょう。それでも意識的に、1人の時間をとって、1人で行動することを覚えてください。皆さんにはそれぞれ、好きなもの、興味のある対象があるかと思います。それは人によってちがいます。何する、どこへいくかを自分で決めていく習慣をつけてください。折しも今は、新型コロナウィルス感染症の拡大により、「social
distancing」が重要といわれるようになっています。これは日常生活において、他者との接触を抑えるという意味ですが、自分の興味に従い、1人で行動することは、この路線に沿うものともいえます。
(3)たくさん失敗してたくさん恥をかいてください
社会に出ると、失敗がただではすまない局面が次第に増えていきます。失敗を避けたいばかりに挑戦することから遠ざかっていると、成長の機会を逃してしまいます。もちろん、今でもやってはいけないことはありますが、学生である今は、大きなダメージなしに失敗を学びにすることができる最後のチャンスです。恥ずかしい経験のことを俗に「黒歴史」などといいます。あえて断言しますが、黒歴史の1つや2つのない大学生活など、面白くありません。
授業開始は2週間遅れることとなりました。この機会に旅行を、というのも今は難しいでしょう。ぜひ本を読んでください。お勧めする本を、学部のウェブサイトに挙げておきますので、何冊かでも読んでみてください。
http://gmsweb.komazawa-u.ac.jp/?p=3303
皆さんの未来は、これから大学で何をどう学ぶかに大きく影響されます。
悔いのない学生生活を送れるよう、今から備えておいてください。
2020年4月2日
GMS学部長
山口 浩